トールペイントの始まり
トールペイントは、もともと18世紀中頃にヨーロッパで始まり、その後19世紀にアメリカに渡って広まったフォークアートです。昔は彫刻が高価な装飾の代表でしたが、もっと手軽に装飾できないかということで、家具や木製品にデザインを描く、という装飾技法が生まれました。
トール(tole)とは、フランス語でブリキの意味です。昔はブリキ製品に絵を描いて飾っていたようです。第2次世界大戦中に、乾燥が早く耐久性の良いアクリル絵の具が開発されます。その後、トールペイントはアメリカに渡り、木や陶器や布などに幅広く描くクラフトとして流行しました。
日本ではトールペイントと呼んでいますが、アメリカではデコラティブペインティングと呼ばれるのが一般的です。
トールペイントの種類 もともとヨーロッパで始まったアートなので、ヨーロッパにはいろいろな手法があります。
ローズマリング: スウェーデンやノルウェー デフォルメした花など。裕福な地主や商人の家のインテリア装飾、後に教会の宗教的モチーフも描かれるようになった。
ヒンデローペン: オランダ北部の港町の名前。17世紀頃、家の内装や家具にペイントを施したのが、ヒンデローペンの始まりです。 基本色は赤、紺、緑。鮮やかな色合いの中にもやさしいタッチが心を和ませる絵柄です。
バウエルンマーレライ: 南ドイツやチロル地方の手芸の一種で、家具や日用品を草花などの模様で飾る絵付けの手法。 手軽なモチーフが安価な家具などに描 かれ、庶民の間に広まった。
アッセンデルフト: オランダのアッセンデルフト地方に伝わる伝統的なペイントの技法。17世紀頃家具に花や風景や肖像画を描くことがブームになった。何色かの絵の具を筆に順々に取っていき,一筆で絵を描き上げる。花、鳥、果実が主なモチーフ。図案があまりないのも特徴。自由な発想で描き上げる。
アメリカントールペイント: ヨーロッパから渡った開拓者たちは、豊富なパイン材や布で素朴で温かみのある家具を作るようになりました。そこにトールペイントも加わり、アメリカならではの、カントリー調のかわいらしいデザインが多く作られるようになりました。ヨーロッパ では見られない動物のモチーフやサンタクロースのモチーフを描くようになり、アメリカントールペイントは独立したアイデンティティを持つようになりました。
日本のトールペイント
日本でも1989年には日本デコラティブペインティング協会が設立し、コンベンションを行ったり、技術認定を行ったり、トールペイントの普及に努めています。日本でも数多くのアーチストが活躍しています。
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